キカイガキライ管理人のすいる(@me_swill)です。
前回はNPPVのマスクフィッティングについてお話しました。
要チェック!
マスク型の人工呼吸器の目的やメリット・デメリット、限界を知ることで、患者への関わりが変化してくるかと思います。
NPPVを扱う臨床工学技士こそ、患者との信頼関係を保ちながら導入から管理までをスムーズにしていくべきです。
今回は、NPPVについての基礎的な事項について触れていきたいと思います。
NPPVのモードについて復習してみませんか?
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なぜNPPVなのか?
当院では高齢な患者が多い為か、DNARの方が大多数を占めます。
DNARとは
蘇生措置拒否(そせいそちきょひ)とは、終末期医療において心肺停止(CPA)状態になった時に二次心肺蘇生措置(ACLS)を行わないこととされる。
※Wikipediaより引用。
このDNARが非常に難しく、日本集中治療医学会からDNARのあり方について勧告があったほど。
参考 DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)の考え方
当院のDrにDNARの線引きについて聞いてみても、「難しい、まだわからない」の返答だけでした。
DNARに付いてくるのが挿管拒否。
人の尊厳がありますからね、これは個々の問題かと思います。
その中でも、呼吸不全患者に対して精一杯の努力をしなくてはいけない。
NPPVの呼び方
NPPVは下記の頭文字を取った略語です。
Non-invasive Positive Pressure Ventilation
非侵襲的陽圧換気療法
ちなみに他の表記もあります。
表記の仕方
- NIV
- NIMV
- NIPPV
いろいろありますねー。
総称として、「ニップ」と呼ぶことが多いです。
NPPVを利用する目的・適応・メリット
呼び名が沢山ある非侵襲的陽圧換気療法。
利用する目的やメリットを見ていきます。
目的
大きく3つの目的があります。
目的
- 肺胞低換気を正常化
- 肺気量の増加
- 呼吸筋の負荷を減らす
これだけ見ると、挿管型の人工呼吸器と変わらぬ効果が期待できそうです。
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適応
また、NPPVの一般的な適応はコチラです。
適応
- 意識がよく協力的である
- 循環動態が安定している
- 気管挿管が必要ではない:気道が確保できている。喀痰の排出ができる
- 顔面の外傷がない
- マスクをつけることが可能
- 消化管が活動している状態である(閉塞などがない)
※NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドラインより引用
これらに適している場合に、NPPVの適応であると考えられます。
特に、COPDの急性憎悪の患者によく使用しています。
エビデンスレベルも強く勧めており、有効性も強く期待できます。
この目的・作用がある為、現在では急性期から慢性期、在宅までと多岐に渡って使用されています。
メリット
では、NPPVのメリットはどの様なものがあるのでしょうか?
メリット
- 侵襲度が低い
- 簡便に導入可能
- QOLの向上と全身管理のしやすさ
- 感染の機会の減少
などなど、メリットは大いにあります。
逆に挿管されていないことが、どれだけ大変なのかがわかるメリットとも言えます。
何より、QOLの向上は患者や家族にとってどれだけ恩恵があるのかははかり知れません。
NPPVのデメリット・限界・禁忌
物事には良いことだけではありません。
NPPVのデメリットや限界を見ていきましょう。
デメリット
では、NPPVのデメリットはどの様なものがあるのでしょうか?
デメリット
- 患者本人の拒否で導入が難しい
- 気道と食道の分離(気道確保)ができない
- 離脱の判断が難しい
- 医療スタッフの習熟と慣れが必要
などなど。
ここらのメリット・デメリットは、在宅導入時での説明はなおのこと必須です。
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どんな検査や治療においても、事前の説明が不足すると有益な成果は得られません。
NPPVにおいてはそれは顕著です。
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当然ですが、スタッフがどれだけNPPVを取り扱えるかが問題となってきます。
そこで重要になってくるのが「スタッフへの教育」。
臨床工学技士と教育は切っても切れない関係です。
限界
NPPVにも限界はあります。
限界
- NPPVを使用しても患者の症状が改善しない
- 動脈血ガスが改善しない
- NPPVの受け入れが悪い・拒否
- 意識レベルの悪化
などなど。
この段階に来た場合、挿管への移行を検討した方がいいかと思われます。
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禁忌
では、NPPVの禁忌はどうなんでしょうか?
禁忌
- 非協力的で不穏
- 気道が確保できない
- 呼吸停止、昏睡、意識状態が悪い
- 循環動態が不安定、心停止
- 自発呼吸のない状態での換気が必要
- 最近の腹部、食道手術後
※NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドラインより一部引用
最後に
今回はNPPVの基本として「NPPVとは・目的から限界まで」についてお話しました。
どんな方にNPPVを施行すればいいのか、メリット・デメリットなどを含めて知っておきたいですね。
患者さんや家族の方に聞かれてもサラッと即答できるよう、私と一緒に学んでいきましょう!
要チェック!
ではでは、またいつか逢う日まで…。
【参考文献】
1)NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン
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