キカイガキライ管理人のすいる(@me_swill)です。
前回は、ネーザルハイフローと他の酸素療法デバイスとの違いについてお話しました。
ネーザルハイフロー自身、鼻カニューラで酸素投与を実施しているので、当院でも看護師が気軽に導入出来るシステムとなっています。
今回はネーザルハイフローは「どんな患者に使うのか?特性上でのメリットは?」ついてお話します。
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ここで記載している事項は、あくまでひとつの参考にして頂けると幸いです。
この記事によって起きた事故等に起きましては、一切の責任は負いかねます。
ネーザルハイフローはどんな患者に使うのか?
当院での一般的な導入の目安として、以下が挙げられます。
低流量・高流量システムの酸素療法をしても、低酸素血症が続いたり、呼吸困難感が持続したりした場合に使用を検討するのがよいとされています。
あとは患者が挿管を望むのか、望まないのかという点も非常に重要です。
マスク型の人工呼吸器であっても拒否感が強い場合、ネーザルハイフローを施行するという場合もあります。
まだまだ新しい治療法にあたる為、エビデンス等がまだ十分に揃っているわけではありません。
当院でもコレ!という適応を定めておらず、とりあえずやってみるかというスタンスが強いです。
要チェック!
ネーザルハイフローのメリット
ネーザルハイフローを使用する上でのメリットについて触れていきます。
メリットとして、以下の事柄が挙げられます。
メリット
- 呼吸困難感の改善
- 呼吸仕事量の軽減
- 解剖学的死腔の洗い出し効果
- PEEP様効果
- 肺胞換気量の増大
などなど。
では、主なメリットについて詳しく見ていきましょう。
呼吸仕事量の軽減
ネーザルハイフローからの流速が患者さんの吸い込む速さより速く、狭い鼻腔に高流量の酸素を流入させるので「患者の呼吸を押し込む」ことが出来ます。これによって、呼吸仕事量が軽減されることが期待出来ます。
呼吸仕事量の軽減から呼吸困難感の軽減にもつながります。
解剖学的死腔の洗い流し効果
30-60L/minの速さで酸素を鼻の中に押し込むことで、吸気時だけでなく呼気時にも酸素が押し込まれ、新鮮な酸素で鼻咽頭内を洗い流すことが期待出来ます(ウォッシュアウト効果)。
解剖学的死腔と生理学的死腔に(全死腔)に分類され、解剖学的死腔は呼吸器系の全容積から肺胞容積を引いたもの、生理学的死腔は吸息したが、気道や肺胞でガス交換されない量を示す。
※Wikipediaから引用
式にすると
解剖学的死腔は150mL程度あるとされています。
その中の1/3である「50mL」を洗い流すのであれば、分時肺胞換気量を上昇させられることに期待できます。
これにより、メリットのひとつである「肺胞換気量の増大」にも繋がります。
PEEP様効果
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ただし、これには注意が必要です。
なぜ、これに「PEEP効果」と記載しないのかという点です。
ネーザルハイフローから30-60L/minの酸素が入ることで、確かに呼気時にはPEEPの様な効果が期待できます。
先に触れた「呼吸を押し込む」ので、呼気が吐き出しにくく、呼気時間の延長になるためPEEPに似た状況になると考えられます。
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しかし、PEEPがかかると言えるのはあくまで気道内圧の話。
ネーザルハイフローは鼻から酸素を吸うので、気道内圧を測定するのは容易なことではありません。
実際に、どれだけのPEEPがかかるのかは…?
ネーザルハイフローを使用していると、結構患者さんは口を開けたりしますもんね。
NPPVついて学んでみましょう!
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最後に
今回はネーザルハイフローの基本として「どんな患者に使うのか?」・「どんなメリットがあるのか?」についてお話しました。
ネーザルハイフロー自身、調べると2010年くらいに登場した比較的新しい療法になります。
まだまだエビデンス等が多くあるわけではく、いろいろな文献を通して、日常の業務に取り入れています。
私は呼吸困難感があるターミナルの患者によくこのネーザルハイフローを勧めています。
ターミナルの患者へはネーザルハイフローのメリットを活かし、呼吸困難感の減少を狙っています。
経鼻で酸素を投与している為、普通の食事が取れるうちは、ネーザルハイフローを装着したまま食事をすることが可能なので、患者のQOLの向上も期待できます。
個人的には、環境等が整備されれば、在宅での使用もアリかなと考えています。
経鼻で過ごすメリットはでかいと思いますし。
まあ、クリアすべき問題は散見しますけどね。
要チェック!
ではでは、またいつか逢う日まで…。
「30~60mL/minの速さで…」というところは30~60L/minのはやさで・・・」じゃないかな。死腔の話と混ぜて書いたから間違ったかな。
清水進 様
ご指摘ありがとうございます。
本文中のmL/minを全てL/minへ変更しました。
引き続き、ご指摘の程よろしくお願いいたします