キカイガキライ管理人のすいる(@me_swill)です。
ある病室でのひとコマ。
(一言多いよな)
人工呼吸器を装着している最中、担当している医師との会話でこのようなやりとりがありました。
今回は酸素化能の評価のひとつである「P/F比」についてご紹介します。
こんな方にオススメです。
ではでは、今回もはりきっていきましょう!
コチラもチェック!
ここで記載している事項は、あくまでひとつの参考にして頂けると幸いです。
この記事によって起きた事故等におきましては、一切の責任を負いかねます。
P/F比ってなんだ?特徴は?
それではP/F比について見ていきましょう。
F:FIO2(吸入気酸素)
P/F比はPaO2/FIO2の割合のことで、酸素化を評価する指標のひとつ。
一番の特徴として以下のことが挙げられます。
特徴
- 人工呼吸管理中の重症度を判定する
- PaCO2を考慮していない
キーワードは、「人工呼吸管理中の重症度を判定する」が大いに関係するようです。
コチラもチェック!
P/F比を計算してみよう
この項では、実際にP/F比の計算をしてみましょう。
それでは、例題を見ていきましょう。
問題1
ある東京の病院の一室で、あなたの血液ガス分析を採取しました。
結果は以下の通り。
- pH:7.45
- PaO2:100mmHg
- PaCO2:35mmHg
P/F比はどれだけでしょうか?
ここで、サクッとP/F比の計算方法について見ていきましょう。
この計算式でP/F比を計算します。
P/F比=PaO2 / FIO2=100/ …
P/F比=PaO2 / FIO2=100/0.21≒480
P/F比の基準値はおよそ300mmHg以上とされています。
では、次の問題を見ていきましょう。
問題2
医師からNPPVを装着する指示が出ました。
現在、リザーバーマスクを使用中です。
吸入気の酸素濃度60%とします。
血液ガス分析の結果が以下の通り。
- pH:7.38
- PaO2:68mmHg
- PaCO2:74mmHg
P/F比はどれだけでしょうか?
P/F比=PaO2 / FIO2=68/0.6≒110
問題1と2のP/F比を比べてみましょう。
問題1のP/F比は480、問題2のP/F比は110でした。
数値の高い、酸素化能は問題1が良いということになります。
問題3
問題2の方の吸入気酸素濃度を60%から40%に変更すると、PaO2はどのくらいになるでしょうか?
では、実際に計算していきましょう。
P/F比=PaO2 / FIO2
この式に、PaO2以外の値を当てはめていきましょう。
P/F比=PaO2 / FIO2=110=PaO2 / 0.4
PaO2=110 × 0.4=44mmHg
このように、ある程度の見通しがP/F比によって立てることができます。
これでP/F比の計算・見方ができるようになりましたね。
要チェック!
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)とP/F比
先ほどから説明している「P/F比」は、実は急性呼吸窮迫症候群:ARDSの診断基準の一部として用いられています。
ARDSとは
急性呼吸窮迫症候群 (きゅうせいこきゅうきゅうはくしょうこうぐん、acute respiratory distress syndrome, ARDS) とは、臨床的に重症の状態の患者に突然起こる呼吸不全の一種である。特に発症前後の状態を急性肺傷害 (acute lung injury, ALI) と言う。
※Wikipediaより引用
そのガイドラインでは「PEEP」や「CPAP」を設定した状況下でP/F比を判定することとなり、P/F比の数値によって、それぞれ「Mild(軽症)」「Moderate(中等症)」「Severe(重症)」に分けられます。
詳しくはコチラを参照してください。
参考 ARDS診療ガイドライン2016日本集中治療医学会
要チェック!
最後に
今回は酸素化能の評価のひとつの「P/F比」についてお話しました。
P/F比は、人工呼吸器使用下における酸素付加時の評価のひとつにもってこいです。
一刻も早い人工呼吸器からの離脱に活用していきたいですね。
要チェック!
ぜひ参考にしてください。
ではでは、またいつか逢う日まで…。
【参考文献】
1)3学会合同ARDS診療ガイドライン2016作成委員会 ARDS診療ガイドライン2016
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