キカイガキライ管理人のすいる(@me_swill)です。
よくあるベッドサイドでのある一コマ。
どうでしょうか?
他にも人工呼吸器を装着した際も、とりあえずSpO2を100%に持って行く酸素濃度の設定。
今回は高濃度の酸素を投与し続けたらどうなるのか?
目指すべきSpO2の値はどこなのか?
これらのお話です。
コチラもオススメ!
ここで記載している事項は、あくまでひとつの参考にして頂けると幸いです。
この記事によって起きた事故等に起きましては、一切の責任は負いかねます。
必要以上の酸素|デメリット
呼吸不全患者には必要不可欠な酸素。
現在の医療には必要不可欠で、メリットもでかい酸素になりますが必要以上の酸素を投与しすぎるとデメリットにもなります。
高濃度の酸素を投与し続けると、酸素が逆に毒になるという、人体に影響を及ぼす状態になっていきます。
吸収性無気肺
通常、肺胞で毛細血管に酸素が取り込まれ、毛細血管との間で拡散が行われても、肺胞内には窒素が残るため肺胞は虚脱しません。
しかし
高濃度の酸素を投与し続けると、窒素が酸素と入れ替わってしまいます。
そうなると、肺胞内の酸素が拡散によって血管内に吸収され、肺胞内のガスが無くなってしまい肺胞が虚脱しやすくなります。これにより、吸収性無気肺が発生します。
酸素中毒
生体は酸素を取り込む酸化還元反応により、毒性のある活性酸素が作られます。
この活性酸素により、細胞・組織の障害が起こると考えられています。
活性酸素は、もともと体内に入った細菌などに、生体防御が働く機能を持ちます。
しかし、活性酸素がこの機能を超えて増えてしまうと、化学反応などを起こし細胞や組織が障害されてしまいます。
肺への影響
- 酸素化能の低下
- 肺のコンプライアンスなどの低下
- テキストなどなど
などなど
高濃度の酸素50%以上を長時間吸入することで、この活性酸素が増加し障害を起こす反応が多くなります。
CO2ナルコーシス
COPD(慢性閉塞性肺疾患)や気管支喘息などの疾患に、高濃度酸素を吸入を行うことで呼吸中枢への刺激がなくなり呼吸抑制が起こる可能性があります。
CO2ナルコーシスの特徴として、以下のことが挙げられます。
COPDの3徴
- 重症呼吸性アシドーシス
- 意識障害
- 自発呼吸の減弱
これを避ける為に、特にCOPD患者への目標SpO2を88-92%と程度低めに設定し、低流量の酸素投与を行うことが推奨されています。
CO2を測定するといえばETCO2ですよね?
コチラで復習!
SpO2 100%管理は必要か?
酸素投与によるデメリットをお話しました。
では、どのような管理をしていくべきなのでしょうか?
皆さんご存知の酸素解離曲線を見ていきましょう。
ここで気を付けるべき点は、SpO2100%のときのPaO2の値です。
よく教科書にSpO2100%の時PaO2100mmHgという関連性を持った書き方。
これを勘違いして、常に酸素管理をSpO2100%を目標にしている印象を受けます。
実は、SpO2100%はPaO2でいうと100-500mmHgとすごく広い範囲になるんです。
これが何を意味するのかというと、PaO2500mmHgから100mmHgへ落ちたとしても、SpO2の値は変わらず100%のままであるということ。
これだけPaO2が落ちるということは、何かしらの状態に陥っていることが考えられますよね?
要チェック!
モニタを値だけで判断してしまい、患者の急変に気付くのが遅れる可能性があります。
目標とするSpO2の値
では、どこに目標とするSpO2の値を設定すべきなんでしょうか?
酸素投与ガイドラインでは、成人急性期患者に対しSpO2 94-98%を目標に管理することが推奨されています。
この値であれば、患者の状態が変われば即座に対応出来ますね。
今回お話した「CO2ナルコーシス」になったらNPPVを使うのもひとつ。
下記の記事をチェック!
最後に
今回は「酸素投与の危険性と目標とすべきSpO2の値」についてお話しました。
つい臨床でありがちな持続した高濃度の酸素投与。
デメリットを知って、酸素の特性を活かしたいところですね。
とかいう私も、なかなか高濃度酸素投与移行からの減量はいつも足踏みしてしまいます。
常に患者さんとのコミュニケーションやバイタルなどのデータを看ながら、関わっていきたいですね。
要チェック!
ではでは、またいつか逢う日まで…。
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