キカイガキライ管理人のすいる(@me_swill)です。
まだ、比較的新しい呼吸療法のひとつであるネーザルハイフロー。
導入が簡単にでき、メリットが多くとても便利です。
でも、少し待ってください。
ネーザルハイフローの酸素流量は適宜見直ししていますか?
こういう方のために、現役の臨床工学技士ができるだけわかりやすくお伝えしようかと思います。
ネーザルハイフローの基礎として「酸素流量を設定する際の注意点」についてお話します。
ではでは、今回もはりきっていきましょう!
ここで記載している事項は、あくまでひとつの参考にして頂けると幸いです。
この記事によって起きた事故等におきましては、一切の責任を負いかねます。
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ネーザルハイフローの特徴
それではネーザルハイフローについて見ていきましょう。
鼻カニューレから、加温加湿された高濃度高流量の酸素投与を行う呼吸療法のひとつ
一番の特徴として以下のことが挙げられます。
特徴
- 鼻カニューラや酸素流量計・酸素ブレンダー・加温加湿器を使用
- 十分に加温加湿された酸素を投与することが可能
- 吸入酸素濃度は21~100%の間で設定可能
キーワードは、「鼻カニューレから高流量の酸素投与が可能」が大いに関係するようです。
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ネーザルハイフローの設定項目
ここで、ネーザルハイフローの設定項目について見ていきましょう。
設定項目
- 酸素濃度
- 酸素流量
- 加温温度
この「設定項目」が少ない点もネーザルハイフローの良い点ですね。
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十分な効果・メリットを出すには?
では、ネーザルハイフローの効果・メリットを十分に出すためには、どうすればいいいのでしょうか?
次からの項で詳しく見ていきましょう。
成人の吸気流速はどれくらい?
ここで質問!
あなたの「吸気流速」はどれくらいですか?
では、ある程度の値を仮定して、算出していきましょう。
- 1回換気量が500mL
- 吸気時間が1秒
上記のように仮定すると、1秒間に500mLの1回換気量を吸い込むことがわかります。
この呼吸を、1分間同じように呼吸したとすると、以下のようになります。
つまり、1分間あたりの吸気流速が30L/分となることがわかります。
この30L/分というのは、実は成人の一般的な吸気流速とも言われています。
この流速30L/分をぜひ覚えておきましょう。
吸気流速と酸素療法の流量の関係性
ここで、酸素療法の低流量システムについておさらいしてみましょう。
低流量システムとは
吸入酸素濃度度はいくら高くしようと思っても60%前後が限界
患者の一回換気量が大きくなるほど吸入する酸素濃度は低くなる傾向
※「ネーザルハイフロー療法の基礎を知る-1」より引用
低流量システムの代表的なものに、「酸素マスク」があります。
酸素マスクは、最大8L/分程度の酸素流量で使用します。
実際に酸素マスクを用いると、吸入酸素濃度はおよそ40-60%くらいにしか上昇しません。
純酸素を投与されているのに、なぜ吸入酸素濃度が100%に上がらないのか。
その原因のひとつに、先ほど挙げた「ポイント」が関係します。
酸素マスクは、使用したとしても8L/分でしたよね?
つまり、吸気流速30L/分のうち8L/分が酸素、その他の22L/分は大気の空気を吸っていることになります。
このため、純酸素を吸っていても100%の吸入酸素濃度にはならないのです。
つまり、酸素流量はとっても大事!
では、ネーザルハイフローの設定された流量が足りているのかどうかを判別する方法を、次の項で見ていきましょう。
酸素流量の過不足判別法
ネーザルハイフロー、もとい酸素療法にとって酸素流量と吸気流速の関係性は非常に重要です。
では、実際に使用されているネーザルハイフローの酸素流量が、足りているのかどうかを判別する方法について見ていきます。
判別方法はコチラ。
判別法
- 鼻腔の近くに手をかざし、吸気時でも空気の漏れを感じるか
- 開口している方には、同じく口元に手をかざし、吸気時でも空気の漏れを感じるか
ポイントとして「吸気時」が挙げられます。
呼気、つまり息を吐くときに空気の漏れを感じるのは当たり前ですよね?
ここでポイントに挙げた「吸気時においても、同様に空気の漏れを感じる」ことが出来れば、ネーザルハイフローの酸素流量は足りている可能性が高いです。
逆に、吸気時に空気の漏れを感じていない場合は、ネーザルハイフローからの酸素以外に、周りの空気を吸い込んでいる可能性があります。
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最後に
今回はネーザルハイフローの「酸素流量を設定する際の注意点」についてお話しました。
ネーザルハイフローを使われている方の呼吸状態を、適宜観察し酸素流量を設定していきたいですね。
また、ネーザルハイフローが全てではありません。
使用される方の状態や環境、意志など総合的に判断し、その方にとって最良で適した呼吸療法が使用されれば幸いです。
要チェック!
ぜひ参考にしてください。
ではでは、またいつか逢う日まで…。
【参考文献】
1)蝶名林直彦 “ハイフローセラピーの適応と限界”.ハイフローセラピー実践マニュアル.西田 修監.東京,ライフ・サイエンス, 2014, 2.
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