キカイガキライ管理人のすいる(@me_swill)です。
当院では新卒の臨床工学技士に医療機器の基本として「輸液ポンプ」を触れさせます。
院内の中でも使用台数の多さで断トツであるという点や、医療機器管理を学ぶにあたって原理を理解するという意味では打ってつけである点が所以だと考えています。
今回のお題は、輸液ポンプについて3部構成でお伝えしたいと思います。
はっきり言います。
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現役MEが教えるシリンジポンプの原理まとめ
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分類
ポンプとは、単位時間あたりの設定流量を正確に送液する装置で、送液方式により分類されている。
よく、教科書に記載されている文面です。
この中でも輸液ポンプは下記の2つに分類されます。
ポイント
- 滴数制御方式
- ペリスタルティック方式
ペリススタルティック方式はローラー式やフィンガー式で用いられる方式です。
教科書によっては、ペリスタルティック方式というのを「流量制御方式」とも呼んでいます。
ペリスタルティック方式のデメリットとして、専用の回路を用いることが必須となってくるので、コストがかかること。
まとめ
- 専用の回路を用いることが必須
- コストがかかる
これ、意外と現場に出ると感じることなんですけど、メーカによって回路を変える必要もあり非常にメンドー。
コレによって、回路を間違えるインシデントもあるほどです。
流量制御方式の専用回路については、面白い発表もあります。
施設によっては、流量制御方式であるにも関わらず、一つの回路で色々なメーカの輸液ポンプに使用しているとか。
精度自身は大きく変わらないし、コストも抑制出来たという発表をされていました。
薬剤の粘度により、正確な流量を確保出来ない点がデメリットでもある「滴数制御方式」。
コストはかかりませんが、薬剤の粘度とかメンドイ。
まとめ
- 薬剤の粘度により正確な流量を確保出来ない
- コストがかかりにくい
昔のJIS規格で定められていた
「輸液ポンプの精度±10%」
上記はひとつの指標ですが、現場ではあまり知られていません。
勉強会や現場で根気よく広めていかないと、いつまで経っても輸液ポンプの評判が良くならないという…。
原理
それではペリスタルティック方式の「フィンガーポンプ」について説明したいと思います。
図のように、輸液ポンプの中央に凹凸があります。
これがフィンガー部です。フィンガー部が回路をしごくことで輸液されます。
これにより「精度±10%」の範囲ですが送液可能に。
ただし、これはちゃんとフィンガー部やチューブガイドに装着した時の話。
ちゃんと装着しないと、「フリーフロー」や「ノーフロー」と呼ばれる現象が起きます。
また、輸液ポンプの破損等により、回路とフィンガー部が押さえられない場合もちゃんとした輸液が出来ません。
また、先述した「専用回路でないとダメ」であること、装着する際に「回路の形状が変わる位ピンとしてしまうとダメ」であることが注意点に挙げられます。
流量精度が担保出来なくなるだけでなく、アラームが正常に動作しなくなる可能性があります。
フリーフロー・ノーフロー
現行の機種では、「フリーフロー」や「ノーフロー」に対する安全機構を備えている機種があります。
しかし、原理を知らないと何がいいのかもわからない。
「輸液チューブが正しくセットされず」に輸液を開始することで、フリーフローやノーフローが引き起こされます。
フリーフロー
「大量輸液状態」に陥り、薬剤の副作用などデメリットが非常に多い状態になります。
ノーフロー
「輸液停止状態」に陥り、意図した治療が継続出来ない状態になります。
キーワード
- フリーフロー:大量輸液
- ノーフロー:輸液停止
対策は?
絶対的な対策としては「焦らない」こと。
これに尽きます。
回路を装着した後に、必ず滴下の「あり」/「なし」を確認しましょう。
まとめ
- フリーフローの防止:輸液ポンプの開始スイッチを押す前に滴下がないこ
- ノーフローの防止:輸液ポンプを開始した後に滴下があること
この2点を確認していきます。
- 開始スイッチを押す前に滴下があればフリーフロー
- 開始スイッチを押したにも関わらず滴下がなければノーフロー
それぞれの原理を知っていれば、観察する項目が見えてくると思います。
最後に
今回は「輸液ポンプの分類と原理、フリーフロー・ノーフロー」についてお話をしました。
日常的に使用している医療機器になりますが、意外とインシデントが多いのも事実。
使用頻度が高いからこそ、原点に返ることが重要だと考えます。
当院では日常点検や定期点検だけでなく、使用中点検にも力を入れています。
1か月に1度だけですが、医療安全と連携することでインシデント削減につなげています。
今回のお話は続き物。
ではでは、またいつか逢う日まで…。
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