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臨床工学技士は除細動器を使用出来る?業務指針から考える妥当性と現実

キカイガキライ管理人のすいる(@me_swill)です。

 

前回、学校では教えてくれない除細動器の基本についてお話しました。

 

現役MEが教える!除細動器を使用する前に知っておくべき大切なこと

 

実際に、除細動をする場面っていうのは、慣れていても緊迫するものです。

そういう時こそ、私たち臨床工学技士が冷静に対応すべきと考えます。

すいる
どのボタン押すんだっけ?
すいる
ペーシングの仕方がわからない!

本当はこうなっちゃいけないんです(笑)。

普段から、トラブルシューティングなどを実践して、どんな状況でも対応出来るのがベスト。

臨床工学技士に依らず、スタッフの誰かが慌てていたら、スッと手を出して協力していきましょう。

 

では、手を出すと言っても医師が不足しており、医師が除細動を実施出来ない状況だった場合どうなのだろう?

すいる
ではでは、臨床工学技士がしようかな…。って僕らやっていいの?!

今回はそんなお話。

注意

今回の記事は、自施設の考えや国の法律などを鑑み、自己責任でお願いします。また、この記事で起きた事故等に起きましては、一切の責任を負いかねます。ご了承ください。

除細動は医療行為なのか

 

私が臨床工学技士の養成校に通っていた際に、ある講師(臨床工学技士)が得意満面に語っていたことがあります。

ねこ先生
除細動器を患者にドンとしたことがある。
ねこ先生
息を吹き返して、次の日に患者の所に行ったら、除細動をした箇所の火傷痛いねん!と言われた。

まあ、いろいろツッコみたいことはありますが…(笑)。

 

このエピソードから言うと、臨床工学技士が除作動器を操作し、患者に直接除細動を行ったことになります。

 

もともと臨床工学技士は、「生命維持管理装置の操作・保守点検」を生業としています。

 

先の心カテ業務における私の記事の中でも、機器の操作という名目で造影剤の注入などを行っていると、記載しました。

 

臨床工学技士はどこまで出来る?!心カテにおける業務範囲についての検討

 

生命維持管理装置の操作という意味合いで、私たち臨床工学技士も除細動を実施してもいいのでしょうか?

 

もちろん「医師の指示のもと」というのは、必ず守らなければならない事項だと思います。

 

果たして、臨床工学技士も除細動を実施することが出来るのか?

すいる
やれるものなら、やりたい!

法制度から見る除細動の実施の妥当性

 

では、少し論点をズラして看護師は実施していいのだろうか?

 

少し探してみると、ある文献を見つけました。

看護師が電気的除細動の施行に対する法解釈について、医師の指示なしでDCを施行すると回答した看護師は12.8%であった。

 

参考・引用文献

鈴木昌 看護師が電気的除細動の施行を躊躇する原因の検討 日本救急医会誌2004;15:209-15

 

この文献からも、施設によっては看護師の除細動を実施している施設もあるようです。

 

しかし、一方ではこのような通知もあります。

平成16年とかなり古いものになりますが、かなりの議論を呼んだのではないかと思われます。

 

厚生労働省医政局長から「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について」

 

AEDを用いた除細動の医行為該当性

心室細動及び無脈性心室頻拍による心停止者(以下「心停止者」という。)に対するAEDの使用については、医行為に該当するものであり、医師でない者が反復継続する意思をもって行えば、基本的には医師法(昭和23年法律第201号)第17条違反となるものであること。

一部抜粋

 

驚いたことに、反復継続する意思をもって行う場合、AEDにおいても法的にoutになるとの見方を示しています。

 

反復継続という文言の解釈も難しいところではありますが…。

 

ちなみに「医師法(昭和23年法律第201号)第17条」は以下の通りになります。

第17条 医師でなければ、医業をなしてはならない

解釈として、 「医業」とは、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼす恐れのある行為(「医行為」)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。

すいる
これはごもっとも。

個人的に決定的?なものとして、以下のものが挙げられます。

保健師助産師看護師法第37条の規定において、医師又は歯科医師の指示があった場合を除くほか、医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生じる恐れのある行為をしてはならないが、臨時応急の手当てをする場合は、この限りではないこととされている。

このため、医師又は歯科医師の診療を受けるまで患者を放置した場合には、患者の身体に重大な危害が生じるおそれがあるときに行う必要最小限の処置については、臨時応急の手当てとして、医師の指示がない場合でも、看護師が行い得るものである。

 

これは、厚生労働省のサイトから、緊急時の看護師の電気除細動についての返答の一部抜粋したものになります。

 

目の前に死にそうな患者がいるのに、何もしないと重大な危害が生じるのが明白な場合は、看護師による電気除細動はOKなのではないかと考えてもよさそうです。

実際にそういう解釈のもと、看護師の手動による除細動をOKにしている施設もあるそうです。

すいる
確かに、この解釈は妥当性がありそう…。

しかし、明文化されている文書を見つけることは出来ませんでした。

では、臨床工学技士はどうのなのか?

 

当院の看護師に伺っても、看護師の除細動について明言できる方はいませんでした。

看護師の管理職の方々に聞いても、一様に首を傾げるだけ。

 

疑問を残したままも悔しいので、看護部長に聞いてみました。

すいる
どうなんですか?出来るんですか?

ねこ先生
ウチはしません!やりません!

えー、当院の看護師としては除細動をしない方針で決まった瞬間に立ち会いました(笑)。

 

ではでは、本題の臨床工学技士は出来るのか?

 

しかし、ここで「出来る」「出来ない」を明言する怖さもあります。

そこで今回は当院の方針をお伝えします。

 

先に出した「医師法(昭和23年法律第201号)第17条」を鑑み、一切しない

 

これに落ち着いています。

個人的には妥当なのかなと思います。

他職種の動向を観察しながら、これからの法改正も視野に入れながらの対応なので賛成です。

 

しかし、他施設ではやっているという声も耳に入ってきます。

 

日本臨床工学技士会としの明文化も期待したい所ですが、コレはなかなか難しいかなと。

長い目で法整備を期待する忍耐も必要です。

すいる
まだかなー、まだかなー。

ここで臨床工学技士連盟の出番になるのでしょうか?

いえ、本当は必要としている現場、私たちが声を出すことが一番大事なのかもしれません。

声を出さないと、何が必要で、何を求めているのかもわかりませんからね。

最後に

 

今回は、電気ショックをするのは医師だけなのか?というお話をご紹介しました。

手動による除細動だけでなく、「コレってどうなんだ?」という業務も多々あります。

個人的にもERCPのガイドワイヤーの操作など、「コレってどうなんだ?」という業務があります。

ひとつずつ問題提起していくのも必要なのかもしれませんね。

業務として遂行しているのに、気付いたら法を逸脱し警察沙汰になっているなんて、本当に怖いですから。

そんな時、上司は、職場は全力で守ってくれますか?

 

では、誰が助けてくれますか?

考えてもいいかもしれませんね。

 

ではでは、またいつか逢う日まで…。

すいる
キカイガキライでした。バイ!

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