キカイガキライ管理人のすいる(@me_swill)です。
透析患者の脳出血。
皆さんも一度はこれを経験したことがあるのではないでしょうか?
- 患者が転倒して頭を打った
- 突然倒れ脳出血を起こした
そんな時にどんな血液浄化療法を選択すればいいのか。
CRRTを選択せざるを得ない状況で、あなたはどの血液浄化療法をチョイスします?
ここで記載している事項は、あくまでひとつの参考にして頂けると幸いです。
この記事によって起きた事故等に起きましては、一切の責任は負いかねます。
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透析患者の死因
今回題材にした脳出血。
男性の死因では多い順から心不全(25.1%)、感染症(22.5%)、悪性腫瘍(10.6%)、脳血管障害(6.3%)であった。
女性も同様に心不全(26.9%)、感染症(20.8%)、悪性腫瘍(7.9%)、脳血管障害(6.8%)の順であった。
患者全体でみると、心不全(25.7%)、感染症(21.9%)、悪性腫瘍(9.7%)、脳血管障害(6.5%)であった。
※日本透析医学会の発表するデータ(2016年)より引用
患者全体で見ても、死亡原因の上位であることがわかります。
決して無視できない脳出血。
では、この状態での血液浄化療法は何を実施していますか?
ひとつひとつ見ていきたいと思います。
無抗凝固薬血液浄化
調べてみると、施設によりいろいろなやり方があるようです。
例えば、コチラのやり方。
抗凝固薬を使用せず高血流量でぐるぐる回す。
出血を助長するリスクを鑑みて、半減期の短い又は抗凝固薬を使用しない方法をやり方です。
血液流量を上げ、血液凝固による「詰まり」を出来るだけ先延ばしにします。
でも、この方法って
不均衡症候群を起こすことで脳圧亢進にもつながってしまう。
血液透析なら、効率が上がるなどの利点があるんでしょうけど、脳出血時には考え物ですね。
血液透析の透析効率を考える上で、非常にわかりやすいサイトがあります。
参考 透析効率を上げる方法CEさぼの備忘録
不均衡症候群
今話題に出た不均衡症候群。
身体の電解質(主にナトリウム、カリウム)のバランスが崩壊することによって引き起こされる様々な症状の総称。 自覚症状としては下肢つり、頭痛、倦怠感等がある。人工透析時に引き起こされることが多い。
※Wikipediaより引用。
今回の脳出血のケースだと出血により脳内の圧が上昇しています。
そこへさらに不均衡症候群で血液脳関門が破たんすると脳浮腫も引き起こし、脳圧亢進が助長されます。
頭の中という限られたスペースで、脳が浮腫を引き起こすと脳圧はさらに上昇。
脳圧か亢進することにより、脳ヘルニアなどの重篤な状態に陥る可能性があります。
最後に
今回は「脳出血に対する血液浄化療法(無抗凝固薬血液浄化)」についてお話ししました。
施設によって、いろいろな考え方があるので一概には正解はないと思います。
ですが、理論やエビデンス、ガイドライン等を学び、何が患者にとってbest choiceなのかを探る行為は必須だと考えます。
今回のお話は続き物。
次回は脳出血に対するCHF(持続血液ろ過)について考えたいと思います。
透析患者が脳出血を発症したときの急性血液浄化の一例ー2
ではでは、またいつか逢う日まで…。
【参考文献】
1)小尾口邦彦 ER・ICU診療を深める②リアル血液浄化
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