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透析患者が脳出血を発症したときの急性血液浄化の一例ー2

キカイガキライ管理人のすいる(@me_swill)です。

 

前回からお話している透析患者の脳出血への血液浄化療法への選択。

透析患者が脳出血を発症したときの急性血液浄化の一例

 

透析患者の脳出血の死亡率が高く、エビデンス上でも重篤な疾患となりうる。

慢性血液透析の患者では、年間0.6-1.0%に脳出血を発症し、健常人に比し5-10倍の危険性がある(レベル4)。好発部位は非透析患者の脳出血と変わらず大脳基底核であったが(レベル4)、通常の脳出血に比較して、血腫はより大きく、死亡率も2倍高い(レベル4)。

※ER・ICU診療を深める②リアル血液浄化より引用

 

こう見ると、非常に怖いです。

すいる

死亡率が2倍高い…。

脳出血患者への血液浄化療法として、何を選択すればいいのか。

持続的腎代替療法を選択せざるを得ない状況で、あなたはどの血液浄化療法をチョイスします?

 

注意

ここで記載している事項は、あくまでひとつの参考にして頂けると幸いです。

この記事によって起きた事故等に起きましては、一切の責任は負いかねます。

 

血液ろ過(HF)

 

当院でも、一昔前までこの持続的血液ろ過を選択していました。

何故か?

臨床工学技士の養成校で確実に授業で行われる血液透析(HD)と、血液ろ過(HF)、血液透析ろ過(HDF)の違いを表すグラフ。

すいる

学校でも見たことありますよね?

血液透析はBUNなどの小分子領域が多く抜け、大分子領域は抜けがあまり良くない。

⇒不均衡症候群を起こしやすい。

血液ろ過は小分子領域は抜けが良くなく、中分子から大分子領域の抜けに優れている。

⇒不均衡症候群を起こしにくい。

※ER・ICU診療を深める②リアル血液浄化より引用

 

ちなみに、不均衡症候群については前の記事を参照してください。

また、不均衡症候群を考える上で血しょう浸透圧はどのような式で表せられるかを知っていなければなりません。

血しょう浸透圧=Na×2+blood glucose/18+BUN/2.8

※ER・ICU診療を深める②リアル血液浄化より引用

 

(この式、意外と透析技術認定士にも出題されるよ)

 

すいる

要チェックやで(笑)。

小分子が浸透圧の大半を占めていることががよくわかります。

血液透析がいかに不均衡症候群を引き起こすかがわかるかと思います。

言い換えれば、小分子領域の抜けが弱い血液ろ過であれば不均衡症候群は引き起こしにくいですよね。

今回の脳出血を引き起こした患者には有用なのかと思ってしまいます。

 

当院でも、この考えのもと「血液ろ過は不均衡症候群を起こしにくい血液浄化だ」という発想のもと、持続的腎代替療法においても持続的血液ろ過を実施していました。

持続的血液ろ過(CHF)

 

循環動態が極めて悪い患者に対して、持続的腎代替療法を選択する中で、今回の持続的血液ろ過を選択する意義について考えたいと思います。

血液ろ過は不均衡症候群を起こしにくい療法であると考え、安易に持続的な腎代替療法を選択しても良いのか?

 

ここで考えるのは間欠的なのか、持続的なのか?

 

持続的腎代替療法において、クリアランスの抜けは先ほどの血液透析などと似ているようで似ていない。

参考図書にある著者:小尾口邦彦はこう表現しています。

CHD:持続的血液透析 CHF:持続的血液ろ過 CHDF:持続的血液透析ろ過

CRRT(持続的腎代替療法)における小分子除去パフォーマンスはCHD=CHF=CHDFでした。「HFが不均衡症候群を起こしづらい」=「CHFがCRRTの中でもっとも不均衡症候群を起こしづらい」ではありません。

※ER・ICU診療を深める②リアル血液浄化より引用

 

この記述は非常に興味深いものです。「持続的」が付くだけで、考え方が一変するような内容です。

CHFにより小~中分子までまんべんなく抜けるのに対して、CHDは小分子しか抜けないので、抜ける分子数はCHF>CHDであり、不均衡症候群を起こすリスクはCHF>CHDであるはずです。

※ER・ICU診療を深める②リアル血液浄化より引用

 

すいる

分子数で考える発想はなかった!

この考えでいくと、「持続的」腎代替療法と「間欠的」腎代替療法は似て非なるものとなります。

そうすると、脳出血を起こした透析患者には持続的血液透析ろ過が選択されるべきなのでしょうか?

ガイドラインで考える血液浄化

 

もちろん、持続的血液透析ろ過が万能であり、安全安心、救命率100%なのかと言うとそうではありません。

患者の状態を診て、総合的に実施していく必要があると思います。

 

血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン(日本透析医学会)では、このように示されています。

発症早期の透析方法としては、持続的血液透析濾過や腹膜透析、血流を減じた血液透析など、頭蓋内圧の上昇が小さい透析法を選択し、透析中にはグリセロールを投与し、抗凝固薬としてはメシル酸ナファモスタッ卜を用 いる(1B)。

※血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドラインより引用

 

このガイドライン上では、持続的血液透析濾過を推奨しています。

あなたはこのガイドラインを見て、脳出血を起こした患者に対してどのような血液浄化を提案しますか?

最後に

 

今回は「透析患者が脳出血を起こした場合の血液浄化療法の選択」に対してお話ししました。

血液浄化療法も含めて、施設の考え方がそれぞれあるので一概に正解はないかと思います。

ただ、最新の知見を交えて、院内で意見を出し合って患者に還元していく行為は必須だと思います。

学会やセミナーなどで学んだ知識・技術は、どんどん発信していけばいいと考えています。発信したら確実に興味を持ってくれる人はどこかにいますし。抵抗勢力は確実にいますけど、それを乗り越える努力も勉強のうち。

その行為が自分自身のモチベーションの維持にもつながるし、臨床工学技士としての地位も向上してくれると考えます。

 

ではでは、またいつか逢う日まで…。

すいる

キカイガキライでした。バイ!

 

【参考文献】

1)小尾口邦彦 ER・ICU診療を深める②リアル血液浄化

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